ひじのケガとリハビリについて

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肘のケガで最も多い症状は、内側の痛みといわれています。
そのなかでも重症なのが、プロ野球選手にもみられる 「肘内側側副靱帯損傷」、最悪の場合は 「肘内側側副靱帯断裂」です。

リハビリの第一歩は「ノースロー(投球禁止)」

肘の内側の痛みに対するリハビリとしては、まずノースロー(投球禁止)が原則です。
患部の炎症をおさえることが先決であり、炎症がおさまるだけで痛みがなくなるケースもあります。

ノースロー期間中は「何もしない」と思われがちですが、 実はこの期間中のリハビリこそが最も重要です。

炎症の原因は「投げすぎ」だけではない

肘の炎症の原因には、単なる投げすぎ以外にも以下のような要因があります。

  • 肘まわりの筋力低下
  • 可動域の低下
  • 投球フォームの崩れ
  • 下半身や体幹、肩まわりの機能低下

これらが複合的に重なることで、肘の内側に過度なストレスがかかり、痛みを引き起こします。

肘を痛める最大の原因:「過外反」

投球動作において肘を痛める最も大きな原因は、過外反といわれています。
レイトコッキング期から加速期にかけて肘は最大外反位となり、 言い換えれば「腕の過剰なしなり」が生じます。

肘が外反すると、内側の靭帯が引っ張られて損傷につながり、 さらに靭帯が付着している骨や軟骨にも影響をおよぼす可能性があります。
一方、肘の外側では骨同士が衝突し、骨や軟骨の損傷を起こすこともあります。

特に成長期には、これらの骨の損傷が多くみられるため注意が必要です。

リハビリの中心は「前腕回内筋群・手関節屈筋群」

肘の外反を制御する筋肉は、前腕回内筋群手関節屈筋群です。
代表的な筋肉には以下のようなものがあります。

  • 円回内筋
  • 尺側手根屈筋
  • 浅指屈筋

これらの筋肉は、内側側副靭帯と同じ上腕骨内側上顆に付着しています。
靭帯の上に覆いかぶさるように位置しているため、 鍛えることで靭帯の補強効果が期待できます。

サポーターによる補助の重要性

前腕回内筋群・手関節屈筋群を補助するようなサポーターであれば、
肘外反ストレスを抑制し、靭帯の保護・補強にもつながります。